２連休明けでの出船・・・なぜか大海は時化あとのような御機嫌斜めな状況・・・底荒れは覚悟のうえであったが・・・

三度炊く飯さえ硬し柔らかし・・・思うままにならぬ世の中・・・と北大路魯山人・・・人生も大海での戯れも同じこと・・・思うようにならない現実そして一様でない世界だからこそ、飽くなき探求心が我々を動かし続けるのでありましょう・・・心ひとつに明日へと・・・。

ヒラメ初見まで１時間２３分を要した・・・前日の負を背負っての始まりであった・・・だがマイナス（ー）とマイナス（ー）が重なる事によってプラス（＋）に変換されたのか？その後はアタリこそ少ないながら順調にオデコ・・・ナイナイシックスティーン状態・・・であったが４名の方がシブがき隊ならぬ渋顔での帰港に・・・微妙な船中２１枚での納竿・・・。

一夜にして天から地へ真っ逆さま・・・これぞ一日天下なりと・・・トルストイは言ったそうな・・・進むのは我々の方で時ではないと・・・歴史に名を刻んだ小説家なら様になるが、我々は日銭商売であり時は待ってくれないと・・・現実は厳しいのである・・・。

神様・仏様・イワシ様・・・祈りを捧げます・・・。

流れぬ潮・・・姿なきイワシ様・・・前日の借りを返すどころか返り討ちか・・・いや待てい！待たぬか！気持ちが負けていては戦には勝てぬ・・・鳴くまで待っていては時間切れとなる・・・ならば鳴かせてみようと、潮が動かぬなら船が動けば良いとピンポイント操業に徹した・・・朝いちこそは３０分余りで５枚を頂戴したが、その後は何とか型を見れる、桃太郎のお腰に付けたキビ団子1つ私に下さいな状態・・・それでも７：１７分にはオデコは１名となり、９：００にようやく全員の方がヒラメを手にする事に成功・・・決して満足はしないが前日よりも前進した事に不満はないと・・・我々の生業は様々な条件下での事・・・毎回同じように行くまい・・・そして明日へ・・・。

微かなイワシ様の便りはヒラメを誘うことなく、我が心を闇へと誘う・・・ヒラメ初見は８：１２・・・付かぬアタリ・・・届かぬヒラメへの想い・・・逆境に置かれた時に人間の真価が問われる・・・人の道を説くある者は言う・・・ならば今日の私は人間失格・・・画家で言うなら頭で思い描いた絵を上手く描けなかった・・・歌い手で言うなら思うように、その詩の世界観を表現出来なかった・・・芸人で言うなら良いオチが付けられなかった・・・情けないが事実を受け止め、明日からの己の糧として再び大海へ挑もう・・・大海での借りは大海でしか返せぬのだから・・・。

前日のヒラメとの同極どおしの磁石のような反発し合う関係に、石の上にも三年とはいかず船団が北なら我は南と、自らが反発し操業開始とした・・・時を待ち仕掛け投入・・・着底間もなくヒラメ初見・・・これはもしや・・・間髪入れずにヒット・・・そして度重なるバラシに行く手を阻まれながらも、僅か１５分後には船上には９枚のヒラメ・・・そして７時を待たずに１７枚の持て成し・・・丘を越えて行こうよ～と気分は藤山一郎・・・ならばと欲望のターゲットを南に・・・現場到着後１０分ほどで４枚を頂戴したがそれまで・・・再度試みた・・・何だい今日は海神が粋な計らいかい？１０枚の持て成し・・・いい気になっていた訳じゃないが光を覆う黒い影が忍び寄る・・・その後２時間近くでたった１枚のヒラメしか追加されなかった・・・残り１時間を北に賭けた・・・７枚、１１枚とふた流しで１８枚の持て成しという幸運・・・そしてオデコも何とラスト１７分前に無くなり、船中５０枚ジャストで納竿に・・・。

イワシ様なき世界・・・そこは空虚なる世界・・・ああイワシ様よ何処へ・・・